世界三大青磁の一つとして称されているのが「三田青磁」です。
主に江戸時代後期から生産が始まり、昭和の初期頃までは多く見かけました。
青磁とは、表面を覆っているガラスのことで、三田青磁は独特の透明感美しい発色もあり、
中国の青磁と同じくらいレベルの高いものとして評価されています。
三田青磁に限らず焼き物全般にいえることですが、磁器は陶器よりも割れにくい性質を
持っていて、汚れもほとんど目立ちません。
お手入れの負担も少なく割れさえしなければそのままの姿で維持できるのも、
三田青磁の素晴らしい点ともいえます。
日本ではもともと平安時代に青磁の文化が認識されるようになりました。当時は国内ではなく中国から輸入したものが最も質の高いトップブランドの位置づけになり、他にも韓国の高麗青磁なども知名度が高く知られていました。
青磁が最初に日本で焼かれたのは、17世紀初頭の肥前鍋島(現在の佐賀県)になり、青磁石の採掘地でもありました。その後、別の青磁石が三田でも採掘され、どうにか焼けないかと考え、当時殿様にも進言しても興味を持ってもらえず、神田惣兵衛を中心に動いていきます。
青磁は、職人によっても色合いの違いがあります。例えば、白っぽい色をしていても青磁と呼ぶ人もいるなど、その人によってもさまざまな姿を楽しませてくれます。主に緑っぽい色の三田青磁が多いとされますが、職人さんによる違いのなかで、好みのものを探せるのも面白さといえます。
一般的な焼き物といえば釉薬(ゆうやく)を1度かけて仕上げをしていきます。でも、三田青磁を見てみると、その断面からも4回かけて作られていることがわかります。この独特の製法を使っていることで、奥深さも感じられ、自然な奥行きが出てきます。
青磁といえば青く見えますが、もともとは透明なもの。例えば窓のガラスのように一見透明に見えるものでも、見る角度によって光の屈折で青く見えることもあります。青磁も同じ考え方になり、もともと釉薬に微量の鉄分が入っていて、配合や焼き方によってそれぞれ違った色味になります。
沖縄の海をイメージしてもらうとわかりやすく、遠目に見ている海は青く美しいのに、波打ち際は透き通っていて全く違ったものに見えます。もともと厚みが薄いので、光の当たり方などちょっとした違いが美しい青を作っています。
透明度の高い青磁は技法にごまかしができないものであり、神経を使って作られます。
透明度の高い青磁は技法にごまかしができないものであり、神経を使って作られます。
三田青磁は艶のある仕上がりになりますが、どちらかというと淡い色彩です。均一ではなく部分的に薄くなっているところ、厚みがあるとグラデーションのように見えて青磁の奥深さをより実感できるようになります。釉薬の塗り方によっても変わってくるなどとても繊細なものです。だからこそ同じ三田青磁でも違うさまざまな表情を見せてくれます。
一般的な青磁とは違った印象を受ける人もいるのではないでしょうか。職人さんが丁寧に心を込めて作り上げていることもあり一つとして同じものがないこと、見え方の違いなども青磁の魅力です。
伊藤 瑞宝(いとう ずいほう)
伊藤瑞宝さん が三田青磁を作る唯一の作家です。 江戸期に愛された三田青磁の色やデザインを自身の視点で捉え、再考し、写し物から独自のデザインのものまで様々な物に挑戦を続けておられます。
伊藤先生は三田青磁について以下のように話されています。
『青磁は、もともとの技術を活かしながら、バリエーションとして増えていくという考え方もあります。若い人の参入や、そのときの流行などもあり形にとらわれることなく自由にやっていきながら、それぞれの知恵や技術を大切にしてほしいと考えている。形にとらわれずそのときの時代にあった青磁があってもいいのではないでしょうか。私も物を作る人間として純粋に美しいものを伝えていきたい。
伊藤先生は三田青磁について以下のように話されています。
『青磁は、もともとの技術を活かしながら、バリエーションとして増えていくという考え方もあります。若い人の参入や、そのときの流行などもあり形にとらわれることなく自由にやっていきながら、それぞれの知恵や技術を大切にしてほしいと考えている。形にとらわれずそのときの時代にあった青磁があってもいいのではないでしょうか。私も物を作る人間として純粋に美しいものを伝えていきたい。
“この先1万年経った時に、今の100年ぐらいの差なんて歴史年表からしたら1ミリあるかないかぐらいの差。そこに自分の名前を刻んだものが1万年後残るってすごくないですか。そこに名前を連ねて一緒にやってみませんかという話です。”
作る人をどんどん増やしていき、三田青磁の作り手が増えれば、三田青磁の知名度を確かなものにしていけると思います。
海外の人にも「中国の青磁もいいけど、三田の青磁もいいよね」といってもらえるようにしたい。ちなみに青磁を英語でいうと「セラドン」といいます。世界三大青磁の一つが日本にあることや、三田青磁の魅力をもっと伝えていきたいです』
1963年
愛知県西尾市に生まれる
1986年
京都市立芸術大学陶磁器専攻卒業
1987年
愛知県立窯業高等技術専門校製造過程修了
1988年
兵庫県三田市に移住/三田焼窯元にて作陶
1994年
市内に築窯独立/陶号「瑞賓」
1994年
三田市立陶芸館講師就任
1999年
三田市教育委員会三田焼の研究参加
2001年
三田市教育委員会三田焼に関する基礎調査・史料調査事業参加
2003年
三田市立三輪明神窯史跡園 三田焼技術伝承講師就任
2022年
関西学院大学文学部 ゲストスピーカー就任
2000年
京都大覚寺嵯峨御流「花の陶展」 入賞
2004年
高木盆栽美術館「BONSAI の器展」 奨励賞
2004年
大滝村北海道陶芸展大滝まちづくり観光協会理事長賞
2004年
くらしの工芸展 入選
2005年
織部の心作陶展 入選
2005年
大滝村北海道陶芸展 入選
2006年
四日市萬古焼綜合コンペ 優秀賞
2019年
三田市技能金蘭賞
三田青磁の陶芸体験が以下の施設で受けられます。
・三田陶芸の森。(旧三田市陶芸館)・・・月曜日の休館日以外の火曜日〜日曜日
※予約要:079-568-4340
・三輪明神窯史跡園・・・月曜日の休館日以外の火曜日〜日曜日
※予約要:079-563-8211
・三田陶芸の森。(旧三田市陶芸館)・・・月曜日の休館日以外の火曜日〜日曜日
※予約要:079-568-4340
・三輪明神窯史跡園・・・月曜日の休館日以外の火曜日〜日曜日
※予約要:079-563-8211
※月曜日は体験できません。
※体験可能な曜日でもスクールや他の行事によりお受けできない場合もございますので、予約時にお問い合わせください。
陶芸体験では、絵付け、型押し、手ひねりなどのコースをご用意しております。
※ろくろの体験はご相談ください。
※体験可能な曜日でもスクールや他の行事によりお受けできない場合もございますので、予約時にお問い合わせください。
陶芸体験では、絵付け、型押し、手ひねりなどのコースをご用意しております。
※ろくろの体験はご相談ください。
①三田青磁を知ろう
青磁の歴史や三田青磁の特徴などをレクチャーいただきます。
②型押し
先生の作陶を見本にしながら各自で型枠に青磁用の粘土を型推ししていきます。
③焼成前
60分~70分で焼成前の物が完成して、後日焼成していただきます。
④完成・引き取り
1か月~2か月後、焼成したものが完成いたします。基本現地で引き取りとなります。※発送の場合、送料は別途となります。